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WBCブラジル代表選手一覧と注目日系選手を紹介!ブラジルにおける野球の歴史についても解説

2026年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)において、ブラジル代表が13年ぶりとなる本大会出場を果たします。サッカー王国として知られるブラジルですが、実は野球にも100年以上の歴史があり、日系移民が中心となってその文化を育んできました。

今回の大会では、MLBドラフト注目株の若手有望株から、日本のプロ野球でプレーする選手、さらには現役の球団通訳まで多彩な顔ぶれがロースターに名を連ねています。本記事ではWBCブラジル代表の選手一覧と注目選手を紹介するとともに、ブラジル野球の歴史についても解説していきます。

WBCブラジル代表一覧

2026年WBCに出場するブラジル代表のロースターは、日系選手を中心としながらも、近年はMLBと縁の深い非アジア系選手も増加しています。投手陣には日本のプロ野球経験者が多く、野手陣にはメジャーリーガーの息子や兄弟など野球界の名門一族出身者も名を連ねています。

ブラジルは1次ラウンドでプールBに入り、アメリカ、メキシコ、イタリア、イギリスと同組での戦いとなります。

▼以下が今大会のブラジル代表選手一覧です(※日本時間 2026年2月6日発表時点)。

投手

選手名(日本語)選手名(原語)投打年齢所属
ガブリエル・バルボーザGabriel Barbosa右投右打24レディング・ファイティンフィルズ(2A/PHI傘下)
ジョセフ・コントレラスJoseph Contreras右投左打17ブレスド・トリニティ・カトリック高校
チアゴ・ダ・シルヴァTiago Da Silva右投右打40ヒガンテス・デ・リバス(ニカラグア)
ムリロ・ゴウヴェアMurilo Gouvea右投右打37ファゼンダ・アルヴォラーダ(ブラジル)
金伏ウーゴHugo Kanabushi左投左打36ファゼンダ・アルヴォラーダ(ブラジル)
ペドロ・レモスPedro Lemos右投右打22タコマ・レイニアーズ(3A/SEA傘下)
トマス・ロペスTomas Lopez右投右打21コロンビア大学(NCAA)
ダニエル・ミサキDaniel Missaki右投左打29ラウンドロック・エクスプレス(3A/TEX傘下)
仲尾次オスカルOscar Nakaoshi左投左打34
エリック・パルディーニョEric Pardinho右投右打25ティブロネス・デ・ラグアイラ(ベネズエラ)
ピエトロ・リエンゾPietro Rienzo右投右打17パイレーツ・ブラック(DSL/PIT傘下)
沢山エンゾEnzo Sawayama左投左打22
ボー・タカハシRodrigo Takahashi右投右打29埼玉西武ライオンズ(日本)
チアゴ・ビエイラThyago Vieira右投右打33トロス・デ・ティファナ(メキシコ)
エクトル・ビジャロエルHector Villarroel左投左打30

捕手

選手名(日本語)選手名(原語)投打年齢所属
ガブリエル・カルモGabriel Carmo右投右打30クーガーズ・デ・モンティニー(フランス)
ガブリエル・ゴームズGabriel Gomes右投右打21
林田エンゾEnzo Hayashida右投右打18ニッポン・ブルージェイズ(ブラジル)
マテウス・シルヴァMatheus Silva右投右打23ニッポン・ブルージェイズ(ブラジル)

内野手

選手名(日本語)選手名(原語)投打年齢所属
ダンテ・ビシェットJr.Dante Bichette Jr.右投右打33カフェ・ブロス(メキシコ)
伊藤ヴィットルVitor Ito右投左打30
フェリペ・コラギFelipe Koragi右投右打22
フェリペ・ミズコシFelipe Mizukosi右投右打31
西山チアゴTiago Nishiyama右投左打20日本体育大学(日本)
レオナルド・レジナットLeonardo Reginatto右投右打35オルメカス・デ・タバスコ(メキシコ)
ルーカス・ホジョLucas Rojo右投右打31ファゼンダ・アルヴォラーダ(ブラジル)

外野手

選手名(日本語)選手名(原語)投打年齢所属
オズヴァウド・カルヴァーリョOsvaldo Carvalho右投左打24ファゼンダ・アルヴォラーダ(ブラジル)
ガブリエル・マシエルGabriel Maciel右投両打27サセックス・カウンティ・マイナーズ(独立リーグ)
ヴィクトル・マスカイVictor Mascai右投左打24
ルーカス・ラミレスLucas Ramirez右投左打20トライシティ・ダストデビルズ(A+/LAA傘下)

参考 : 2026 Brazil World Baseball Classic Roster – Baseball America

ロースターを見ると、投手陣には日本球界でプレー経験のある選手が多く含まれています。野手ではMLBで活躍するボー・ビシェットを筆頭に、メジャーリーガーの血を引く選手たちが中心打線を形成します
監督を務めるのはヤクルトでヘッドコーチを務める松元ユウイチ氏で、日系ブラジル人として両国の野球に精通した指揮官です。

WBCブラジル代表の注目選手・日系選手

今大会のブラジル代表には、MLBドラフト上位候補から日本のNPB経験者まで多彩な経歴を持つ選手が集結しています。ここでは特に話題性の高い4名の選手を紹介します。

ジョセフ・コントレラス

今大会のブラジル代表において最も注目を集める存在が、弱冠17歳の高校生右腕ジョセフ・コントレラスです。米国フロリダ州のブレスド・トリニティ・カトリック高校に在籍し、195センチの長身から最速98マイル(約157キロ)の速球と鋭く落ちるフォークボールを武器としています。

父親は、かつてキューバ代表のエースとして活躍し、MLB移籍後はヤンキースやホワイトソックスで通算78勝を挙げたホセ・コントレラスです。2005年にはホワイトソックスのワールドシリーズ制覇に貢献した名投手であり、息子もまた非凡な才能を見せています。母親がブラジル出身であることから、ブラジル代表としてWBCに出場することになりました。

ジョセフは2026年のMLBドラフトにおいて上位指名候補として評価されており、プロ入り前の高校生ながら国際大会の舞台に立つという異例の選出は、彼のポテンシャルの高さを物語っています。

伊藤ヴィットル

プロ野球選手ではなく、阪神タイガースの通訳という異色の肩書を持ちながらブラジル代表に選出されているのが伊藤ヴィットルです。祖父が日本人の日系ブラジル人3世で、1995年2月16日生まれの30歳。本職は外国人選手のサポートを担当する通訳ですが、確かな野球の実力を持つ遊撃手でもあります。

ブラジルで生まれ育った伊藤は、15歳で来日し埼玉県の本庄第一高校に野球留学。その後共栄大学を経て社会人野球の名門・日本生命に入社し、内野手として5年間プレーしました。俊足と堅実な守備が持ち味で、在籍中はドラフト候補にも名前が挙がるほどの実力者でした。

2024年に通訳として阪神に入団した後も野球への情熱は衰えず、早朝6時半から自主練習を続けています。昨年3月のWBC予選ではレギュラー遊撃手として4試合に出場し、打率.385という好成績で本大会出場権獲得に大きく貢献しました。

「世界をびっくりさせたい」と語る伊藤は、通訳と代表選手という前代未聞の二刀流でブラジル野球の歴史に新たな1ページを刻もうとしています。

ボー・タカハシ

埼玉西武ライオンズに所属する右腕投手ボー・タカハシは、ブラジル代表の投手陣において中心的な存在です。本名(ポルトガル語圏の人名慣習に従う)はロドリゴ・ヒトシ・カイモチ・タカハシで、日本人の祖父母を持つ日系ブラジル人3世です。

16歳でアリゾナ・ダイヤモンドバックスとアマチュア・フリーエージェント契約を結びMLBへの道を歩み始めました。傘下のマイナーリーグで経験を積んだ後、2021年には韓国プロ野球KBOリーグの起亜タイガースに移籍し、ブラジル人初のKBO選手となりました。同年12月に埼玉西武ライオンズへ入団し、2024年には開幕ローテーション入りを果たしています。

ダニエル・ミサキ

ダニエル・ミサキは、ブラジル代表として長年にわたり活躍してきた右腕投手です。日系3世として静岡県で生まれ、2013年のWBC第3回大会には16歳の最年少でブラジル代表に選出されるという早熟の才能を見せました。

WBC出場後、米メジャーリーグのシアトル・マリナーズと契約しマイナーリーグでプレー。その後2020年に来日し、独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスで腕を磨きました。2021年8月には読売ジャイアンツと育成契約を結び、背番号002を背負って二軍で経験を積んでいます。

ブラジル代表としてのキャリアは10年以上に及び、2013年大会では日本やキューバといった強豪と対戦した経験も持っています。国際経験の豊富さではチーム随一であり、今大会でもブルペンの一角として重要な場面での登板が期待されています。

ブラジルと野球

サッカー王国として世界的に知られるブラジルですが、実は野球にも100年以上の歴史があります。その発展を支えてきたのは20世紀初頭に海を渡った日本人移民とその子孫たちでした。

ブラジルで野球を広めたのは日系移民!

ブラジルにおける野球の歴史は、日本人移民の歴史と密接に結びついています。1908年、日本人移住者を乗せた船「笠戸丸」がブラジルに到着したことから、日本とブラジルの交流が本格的に始まりました。移民たちは異国の地で厳しい労働に従事しながらも、故郷の文化や娯楽を大切に守り続けました。

野球もその一つでした。元々アメリカ人によって野球は持ち込まれていましたが、広く普及させたのは日系移民の人々だったといわれています。農作業の合間や休日に野球を楽しむ姿は各地の日系コミュニティで見られるようになり、やがて日本人学校の授業にも野球が採用されるほどになりました。
1930年代以降には、日系移民による全伯野球大会が開催されるようになり、組織的な野球活動が発展していきます。

長い歴史の中で、ブラジル野球は着実に発展を遂げてきました。近年では日本の高校や社会人チーム、さらにはプロ野球やメジャーリーグで活躍する選手も増えています。日系移民が紡いできた野球文化は、世代を超えて現在も脈々と受け継がれているのです。

WBC出場は2013年大会以来

ブラジル代表にとって、今回のWBC本大会出場は2013年の第3回大会以来、実に13年ぶり2度目となります。この間、2大会連続で予選突破を逃すという悔しい時期を過ごしてきました。

転機となったのは2025年3月に開催された第6回WBC予選です。ブラジルはドイツ、コロンビア、中国と同組で戦い、初戦のコロンビア戦では敗れたものの、その後ドイツと中国に連勝。本大会出場権をかけた第2代表決定戦でドイツを6対4で下し、悲願の本大会復帰を果たしました。
今大会では元メジャーリーガーの息子であるダンテ・ビシェットJr.の活躍や、日本でプレーする選手たちの奮闘が光りました。13年ぶりとなるWBC本大会で、ブラジル野球がどこまで世界の強豪に迫れるのか、日系移民が紡いできた夢の続きに注目が集まります。

まとめ

今大会のブラジル代表は、1次ラウンドでプールBに入りました。同組にはアメリカ、メキシコ、イタリア、イギリスが名を連ね、非常に厳しい戦いが予想されます。

ブラジル代表の最大の強みは、日本のプロ野球で鍛えられた投手陣の層の厚さです。ボー・タカハシを軸に、ダニエル・ミサキ、チアゴ・ビエイラら経験豊富な投手がブルペンを支えます。一方で打線には、MLBで活躍するボー・ビシェットがおり、打撃陣の中心として期待がかかります。

予選を突破し本大会出場を果たした勢いを維持できれば、接戦をものにする力はあるでしょう。現実的な目標としては1次ラウンド1勝を挙げることですが、イギリス戦やイタリア戦での番狂わせも十分に期待できます。13年ぶりの本大会で、ブラジル野球の成長を世界にアピールする舞台となるでしょう。