試合結果詳細

ハリエンジュ｜００２４１１｜８
ニセアカシア｜２３００００｜５

第二試合。ニセアカシアはアンダースローの変則投手鳴川を先発に。対するハリエンジュは勝てば優勝が決まるこの試合に満を持して現役野球部投手の片岡をマウンドへ。強打のニセアカシアか堅守のハリエンジュか。両極の色をもったチームが激突する。

先攻はハリエンジュ。一番近藤がニセアカシア平石のエラーで出塁し、二番TAICHIもレフト前ヒットを放ちノーアウト一二塁といきなりチャンスを作る。しかし鳴川がここで持ち味を発揮。神岡、次郎丸、重原の全員野球部で構成されたクリーンアップを、独特の投球フォームで翻弄し無失点に抑える。

対するニセアカシアの攻撃。ニセアカシアの重量打線が早くもハリエンジュに牙を剥く。一回の裏一番は背番号51。ライトフィールダー山口。ニセアカシアのイチローは左打席に入りお決まりのあのルーティーン。会場を大いにわかせる。これにひるんだか片岡は四球を与えてしまう。さらに続くYUKIにも四球、岡部セカンドのエラーでノーアウト満塁とされる。続く平石を抑えワンアウト。打席に入るは内木。制球の定まらない片岡の真ん中に入った甘い球を見逃さず左中間を破る二点タイムリーツーベース。強打のニセアカシアが先制点をあげる。

さらにニセアカシアは攻撃の手を緩めない。ワンアウトから鳴川のレフト前ヒットを放ち、山口三振でツーアウト一塁の場面でYUKI。彼の最も得意とする内角低めの球を捉え痛烈なライナーを放つ。ハリエンジュのライト大川が懸命に手を伸ばすも一歩届かずライトオーバーとなり俊足を飛ばしたYUKI選手は楽々ホームイン。ツーランランニングホームランとなる。これに気を落とした片岡は続くクリーンアップに四球を続け、六番のジンタに押し出しを与えてしまう。ここで片岡は降板し近藤がマウンドへ。後続を三振におさえるも、スコアは5対0。ハリエンジュの完全優勝に黄色信号が灯る。

なんとか反撃のきっかけを作りたいハリエンジュ三回表の攻撃。先頭の片岡が四球で出塁し、続くTAICHIも九球粘り四球をもぎとる。つづく神岡、次郎丸は打ち取られツーアウト二、三塁。バッターは重原。鳴川のスローボールを引きつけ基本通りのセンター返しで二点タイムリーを放ち反撃の足がかりとする。

勢いに乗るハリエンジュ。続く四回の攻撃。岡部Jr、大川がカズ山本の連続エラーで出塁し、打席には川本。鳴川はこのスーパー安パイに死球を与えてしまい打席には強打者片岡。ニセアカシアはたまらずタイム。ナインがマウンドへ集まる。するとここで事件が。二塁ランナーの大川がなぜかニセアカシアナインと一緒にマウンドへ歩み寄り、主審の村田、ネクストのTAICHIがこれに続く。すると両軍のベンチの選手もわらわらとマウンドに集まり、結局試合に参加している全選手がマウンドに集まり継投を相談するという意味不明な事態へ。さらにニセアカシア主将平石が何を血迷ったかハリエンジュの近藤に決定権を委ねる。近藤もあまりの事態にうろたえながらも、鳴川の続投を希望すると、この意見を平石がまさかの採用。何故か全員が納得し、鳴川の続投が決定する。

アカシア大会ならではの珍事件もどうにか収集し試合再開。場面はノーアウト満塁。打席には片岡。ここで片岡は初球を叩きライト前二点タイムリーヒット。さらに続くTAICHIもレフトへ痛烈な打球を放ちヒット。一人ランナーが生還するも、ショート岡部の好送球で二人目の生還は許さない。このあと、守備の乱れがありこの回結局四得点。スコアを6対5としハリエンジュが見事試合をひっくり返し優勝に大きく前進する。

ハリエンジュの勢いをなんとか止めたいニセアカシアは五回表から東京六大学準硬式野球ベストナインの岡部をマウンドに送る。岡部の右腕から放たれる豪速球はアカシア大会では群を抜いており、投球練習だけでハリエンジュナインを黙らせるには十分であった。ただ一人を除いては。そのただ一人とは他でもない岡部Jrである。岡部Jrは「楽勝っす」とだけ言葉を残しバッターボックスへ。ここに岡部兄弟対決が実現する。初球岡部兄の130km近い速球を岡部Jrはファール。もはやアカシア野球大会のレベルではないハイレベルな対決に両軍かたずをのんで見守る。ツーストライクと追い込んだ三球目。岡部兄の豪速球を岡部Jrは見事はじき返しレフト線へのツーベースヒット。弟が兄を超えた瞬間、ハリエンジュからは大きな歓声がわきおこった。

岡部はこの後続く大川、川本を三振に抑えるも片岡に四球をだしてしまい、ツーアウト一二塁。ここでハリエンジュベンチが動く。この日高熱を出してしまい一度は野球大会への辞退を考えたが、みんなと会いたいと熱望し応援としてアカシア大会に参加した浅野を打席に送る。今にも死にそうな浅野が岡部からなんと奇跡のタイムリーを放つ。次の回の六回にも一点を加えスコアは5対8。ハリエンジュ優勝へのカウントダウンがはじまる。

なんとか反撃の糸口を掴みたいニセアカシアだが、ハリエンジュのリリーフ近藤を捉えられない。二回途中から登板し、4回を投げ、被安打1無失点と完璧なピッチングをみせドラ1の貫禄をみせつける。

最終回となる六回。ハリエンジュ近藤は四番平石、五番内木を簡単に打ち取りツーアウト。ここでニセアカシアから川本をピッチャーにしろとの声が上がる。これに対し川本は「おれがあんたを男にするんだ」とキャプテンであるTAICHIに登板を直訴。キャプテンTAICHIはこの川本の熱い言葉に「なにいってんだこいつ」と思いながらもしぶしぶ川本をマウンドへ送る。バッターは西野。川本の初球、小学生が投げたかのようなスローボールは奇跡的にストライクゾーンへ。これを西野が力強く引っ張るもサード岡部Jrイレギュラーした打球に見事反応しファーストへ送りゲームセット。これによりハリエンジュの最終戦を待たずに三連覇が確定し、マウンドの川本に駆け寄るナイン。歓喜の渦が巻き起こった。