試合結果詳細

多田部長復帰後の公式戦は5月にも関わらず夏を先取りした猛暑に見舞われた。先発立石の初恋は幼稚園時代に出会った恩師(57)だった。後に多田部長をお父さんと呼ぶことも知らず、2人の運命の歯車は動き出す。
初回、立ち上がりを攻められ先制を許すも、すぐさま立石の兄弟子である小崎が四球からの好走塁で同点に追いつく。小崎と立石が実兄弟という事実を2人が知ることはまだ先なのかもしれない。
そして相手投手を前に塁に出ることもままならない打線を尻目に、3回に柵越え本塁打などで2点を勝ち越される。
一方でスカートめくりが横行した時代に主犯格としてクラスを束ねていた捕手柳川も立石同様に同級生には興味がなく、いつも園長先生(78)のミニスカートをめくっていたという。それが虚実であったなら柳川が放ったあの打球もフェア判定となり今頃は歌舞伎町を転々としていたのかもしれない。
最終回、もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対と話す立石はこの日投じた365球目の渾身のナチュラルストレートをフェン直され1点を取られると、やっぱりもう恋はしないと宣言する。
しかしドラマはその裏、1993年に野球をして白球に夢中だった、天才の男だったけどやっぱり違った柳川が三振に倒れ万事休すに追い込まれたFieldersに奇跡が起こる。




それから10年後、初夏を迎えると俺たちはあの頃を思い出しながらビールを片手に笑い合う。そして秋丸が「俺がいれば勝てた」と言いながら立石の写真に語りかけ、空に向かって乾杯する。