試合結果詳細

平成という時代の終わりが近づいている。
吹く風は時代の終わりを感じさせると言うよりも、むしろ暖かさを増して、日々長くなる陽とともに、新たな時代の幕開けを予感させる。

この日はやや曇り空の東綾瀬公園だったが、野球ができればいつだって野球日和だ。
審判ふたり体制という珍しい状況下、ヤジーズ平成最後のプレイボールが声高に宣言された。

マウンドに立つ東京Mの背番号4は、伸びのあるストレートをぐいぐい投げ込んでくる速球派。
先攻のヤジーズ打線は初回から千葉のヒット、坂井のフォアボール、久保、野澤の連続ツーベースで攻め立て2点を先取
2回にも内田のデッドボール、中居のフォアボールで1・2塁とすると、佐伯圭の絶妙なバントヒットで満塁の好機を作り出す。直後、トップバッター境の走者一掃ツーベースが飛び出し、5-0と大幅リードを奪う！

盤石の試合展開かと思われたが、ヤジーズにセーフティーリードという概念は存在しないのだった。
エラーも絡み、2回には5失点で一気に追いつかれる。

試合は振り出しに戻ってしまったが、なあに、さらに取り返せばいい。
俺をぉ！　俺たちを、誰だと思っていやがる！（後半は『天元突破グレンラガン』より引用）

…と、意気込むも、相手投手のボールもキレを増し、ヤジーズ打線はかえって肩に力が入ったのか、沈黙する打線は345回無得点。打者一巡をなんとパーフェクトに抑え込まれる。

それでもヤジーズ久保はランナーを背負いながら力投を続け、3回4回と東京M打線を抑え無失点で切り抜ける。

試合が動いたのは5回の裏。左中間のフライにレフト清水とセンター中屋が激突する交錯プレーなどもあり2点を失う。ヤジーズはこの試合初めてリードを許す形となった。

制限時間も迫る中、なんとか追いつきたいヤジーズ6回表の攻撃は、坂井のヒット、久保のフォアボール、野澤のデッドボールと続き無死満塁の好機を作る。
バッターはここで長距離砲の六番・石田を迎えるが、あえなくキャッチャーフライに撃沈。
一死満塁で続く堅田は仕事のし過ぎかここまで今季ノーヒット。この試合もなんとかバットに当てるものの一邪飛、投飛と内野フライマシーンと化している。そのバッティングは映画館の売店にあるポップコーン製造機にも似て、とにかくポップフライを作っていた。

「おい、気持ちで負けているぞ！」
2ストライクに追い込まれ清水コーチの激が飛ぶ中、集中力を高める堅田の耳には別の声が聞こえていた。

「お前を信じろ！　お前が信じる、お前を信じろ！」（『天元突破グレンラガン』より引用）

仕事のしすぎによる幻聴である。
そうなのだ、打席の中で選手はひとりだ。
ピッチャーと対峙したとき、信じられるものはもう自分しかいない。
ここまで積み重ねてきた努力、素振り、そしてバッティングセンターへの課金を信じるしかないのだ。

ええいままよ、南無八幡大菩薩…と祈りながら振り抜いたバットは内角のストレートを鋭く弾き返し、反撃の狼煙となるセンター前タイムリーヒットとなった！　神に祈った甲斐があった。アーメン。なんまんだぶなんまんだぶ…。

しかし、坂井は生還したものの、2塁から一気にホームを狙った久保はあえなくタッチアウトとなってしまい、ここから一気に同点、逆転といきたいヤジーズ打線だったがそうもいかず反撃はここまで。6回表終了時で6-7xと悔しい敗戦となった（エキストララウンドは割愛）。

エース久保はたび重なるエラーにもめげず最後まで投げきり自責点ゼロで完投。
また、最後となったが、途中出場の加藤はDLリスト（胃腸炎）からの復帰直後にショートを守り盤石の守備を見せたり、スパイクを忘れた者に貸してあげたりするなどの優しさ溢れるプレーで活躍を見せた。
また、代表・大手の内君が自前のユニフォーム（ピンク）を着こなし颯爽と現れるや、スコアをつけたり、飴を配ったり、活躍メンバーとハイタッチをしたり、ヤジーズナインを元気づけた。今後の活躍も期待したい。

平成最後のヤジーズは、接戦の末に悔しい敗戦となったが、しかし、令和に向かって大きな教訓と課題を得た。
5月に控えるリーグ戦に続き、そして連盟トーナメントに向けて臥薪嘗胆、刻苦精励、汚名返上獅子奮迅といった形でひとつよろしくお願いします。

ヤジーズ新時代の訪れは、すぐそこに迫っている！

（文責・TRIGGER特集47ページを作ってて死にそうな堅田／5月16日発売のファミ通だよ買ってね！）