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WBC韓国代表の注目選手は?過去の韓国代表の成績も解説

2026年3月、第6回ワールド・ベースボール・クラシックWBC)がいよいよ開幕します。日本と同じプールCに入った韓国代表は、東京ドームで侍ジャパンとの直接対決に臨むことになります。

韓国にとって、WBCは因縁の大会です。2009年の準優勝を最後に3大会連続で1次リーグ敗退という屈辱が続いており、今大会にはまさに「背水の陣」で挑む格好となっています。

この記事では、2026年WBC韓国代表の注目選手や辞退を余儀なくされた選手、そして過去のWBCにおける韓国代表の成績をまとめてお届けします。東京ドームでの日韓戦を観戦する際の予備知識として、ぜひ参考にしてみてください。

WBC韓国代表の注目選手

今大会の韓国代表は、リュ・ジヒョン監督の下で若手とメジャーリーガーの融合を図るチーム作りを進めています。KBO(韓国プロ野球)のスター選手に加え、韓国系アメリカ人を含むMLB選手の招集にも積極的で、かつてないほど多彩な顔ぶれが揃いつつあります。

ここでは、特に注目すべき3選手をピックアップして紹介します。

ライリー・オブライエン(カージナルス)

ライリー・オブライエンは、アメリカ人の父と韓国人の母を持つ韓国系アメリカ人の右腕リリーフ投手です。193センチの長身から投げ下ろす最速約162キロのパワーシンカーが最大の持ち味で、ボールの速さだけでなく重さで打者のバットをへし折るような圧倒的な威力を誇ります。

韓国代表にとって、投手陣の強化は長年にわたる課題でした。オブライエンの参戦は、まさにこの弱点を補強するものと言えるでしょう。

金慧成(ドジャース)

金慧成(キム・ヘソン)は、ロサンゼルス・ドジャースに所属する韓国代表の若き内野手です。1999年生まれで、KBOリーグのキウム・ヒーローズで8シーズンにわたり活躍した後、2025年にポスティング制度を利用してMLBに挑戦しました。

ドジャースでのルーキーイヤーとなった2025年は、開幕をマイナーで迎えたものの5月にメジャー昇格を果たしました。昇格後は打率が一時4割を超える鮮烈なデビューを飾り、大谷翔平の本塁打につながる得点機を演出するなどチームにも貢献しています。

李政厚(ジャイアンツ)

李政厚(イ・ジョンフ)は、サンフランシスコ・ジャイアンツに所属する韓国球界を代表する外野手です。愛知県名古屋市で生まれ、父はNPBの中日ドラゴンズやKBOで「風の子」の愛称で親しまれた伝説の俊足プレイヤー・李鍾範(イ・ジョンボム)氏というサラブレッドです。KBOでは2017年に179安打で歴代新人最多安打記録を更新し、新人王を受賞するという鮮烈なデビューを飾りました。

2023年末にはジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(約164億円)の大型契約を結び、MLBに活躍の場を移しています。メジャー1年目の2024年は左肩の手術で大半を棒に振る苦しいシーズンとなりましたが、完全復活を果たした2025年シーズンには持ち前のコンタクト能力を存分に発揮。メジャーの強力な投手陣を相手にしても広角に安打を量産し、名門ジャイアンツの打線を引っ張る存在に成長しました。

WBC韓国代表を辞退した選手

今大会の韓国代表は、主力として期待されていた選手が相次いで辞退を表明する事態に見舞われています。特にメジャーリーグで活躍する3選手の離脱は、チーム編成の根幹に関わる痛手であり、リュ・ジヒョン監督の手腕が問われる状況となっています。

トミー・エドマン(ドジャース)

トミー・エドマンは、韓国系アメリカ人として2023年のWBCで韓国代表に選出され、大きな話題を呼んだ内野手です。2023年大会当時はセントルイス・カージナルスに在籍していました。韓国代表に外国籍の選手が加わるのは史上初のことであり、日本代表におけるラーズ・ヌートバー選手のようなインパクトを韓国にもたらした存在と言えます。走攻守三拍子揃ったユーティリティプレイヤーとして前回大会でも重要な戦力を担い、その活躍が韓国系メジャーリーガー招集への道を拓きました。

2024年のシーズン途中にドジャースへ移籍したエドマンは、新天地でも確かな存在感を発揮しました。ドジャースのポストシーズン快進撃にも貢献し、ワールドシリーズ制覇の一翼を担っています。

しかし、シーズン中には右足首の炎症で複数回にわたって負傷者リスト入りを経験するなど、足首周辺のコンディションが慢性的な懸念材料となっていたのも事実です。そして2025年のシーズンオフ、右足首の手術に踏み切ることが決まります。前回大会で韓国代表にとってのシンボル的存在だった選手の不在は、戦力面だけでなくチームの求心力という面でも影響が心配されるところです。

宋成文(パドレス)

宋成文(ソン・ソンムン)は、1996年生まれのソウル出身の内野手です。2025年シーズンにKBOのキウム・ヒーローズで打率.31526本塁打90打点25盗塁OPS.917という圧巻の成績を叩き出し、チームのキャプテンとしても存在感を発揮しました。その実力が高く評価され、2025年12月にサンディエゴ・パドレス4年1500万ドル(約23億円)の契約を結んでいます。

WBCに向けては韓国代表の中核打者として大きな期待が寄せられていました。メジャー移籍を果たしたスラッガーがWBCの舞台でも暴れてくれるものと、韓国のファンは楽しみにしていたはずです。
ところが2026年1月、怪我の影響からWBC出場は断念すると発表。宋は治療とリハビリに専念した後にパドレスの春季キャンプへ合流する予定です。

メジャー移籍1年目のキャンプインを目前にした時期の負傷は本人にとっても想定外だったでしょう。金河成に続く主力メジャーリーガーの離脱により、韓国代表はメジャー経験のある内野手を大幅に欠いた状態で大会に臨むことになりました。

金河成(ブレーブス)

金河成(キム・ハソン)は、MLBで長年にわたって確かな実力を示してきた韓国を代表する遊撃手です。KBOのネクセン・ヒーローズ(現キウム)で頭角を現し、2021年からMLBに挑戦。パドレス時代の2023年にはWAR5.8を記録し、アジア人出身選手で初めて内野手部門のゴールドグラブ賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

2025年はタンパベイ・レイズからアトランタ・ブレーブスに移籍し、オフにはブレーブスと1年2000万ドル(約31億円)で再契約を結びました。30歳を迎えてなお高い市場価値を維持しており、今大会でも韓国代表の中心打者として期待されていたのですが、思わぬ不運に見舞われることになります。

シーズンオフに母国・韓国に帰国していた金河成は、凍結した路面で転倒してしまい、右手中指の腱を断裂するという大けがを負いました。ブレーブスは2026年1月18日(日本時間19日)に、金河成がアトランタで右手中指の靱帯再建手術を受けたと発表。回復には4〜5か月を要する見込みで、WBCはもちろんMLBの開幕にも間に合わない見通しです。
チームの戦力構成を根本から見直す必要に迫られ、リュ監督の手腕が試される局面となりました。

WBCにおける韓国代表の成績

韓国は第1回大会(2006年)から全大会に出場しているWBCの常連国です。WBSCの世界ランキングでもアジアでは日本に次ぐ強豪として位置づけられており、国際大会では常に存在感を発揮してきました。しかし近年のWBCでの戦績を振り返ると、かつての栄光から遠ざかっている現状が浮き彫りになります。

大会成績
第1回2006年ベスト4(準決勝敗退)
第2回2009年準優勝
第3回2013年1次ラウンド敗退
第4回2017年1次ラウンド敗退
第5回2023年1次ラウンド敗退

最高成績は2009年の準優勝

韓国代表のWBCにおける最高成績は、2009年の第2回大会で記録した準優勝です。この大会の韓国は、秋信守(チュ・シンス)と林昌勇(イム・チャンヨン)の2名を除けばほぼ全員がKBOの選手で編成されていました。当時は国際大会の好成績による兵役免除の制度が廃止されるなど逆風が吹いていたにもかかわらず、若手主体のチームが世界の強豪を次々と撃破して決勝まで勝ち上がったのです。

1次ラウンドから決勝まで、日本とは実に5回も対戦するという異例の展開となりました。通算2勝2敗のイーブンで迎えた決勝戦の舞台はロサンゼルスのドジャー・スタジアム。5万4868人の大観衆が詰めかけた一戦は、WBC史に残る名勝負として今なお語り継がれています。

日本は3回に1点を先制しましたが、韓国は5回にメジャーリーガーの秋信守がセンターへのソロ本塁打で同点に追いつきます。その後も一進一退の攻防が続き、日本が3対2とリードして迎えた9回裏。あと1アウトで優勝という場面でダルビッシュ有投手イ・ボムホに同点適時打を許し、試合は3対3のまま延長戦に突入しました。

そして迎えた延長10回表、2死二・三塁の場面で打席に立ったのがイチロー選手でした。韓国のクローザー林昌勇との息詰まる8球の勝負の末、イチローはセンター前へ鮮やかな2点タイムリーヒットを放ちます。日本が5対3で勝利しWBC2連覇を達成したこの瞬間は、野球ファンの記憶に深く刻まれた伝説的な名場面です。

韓国にとっては悔しい結末でしたが、9回2死から追いつく驚異的な粘りを見せた戦いぶりは称賛に値するものでした。KBO主体のチームで世界の頂点に手が届きかけた2009年の輝きを取り戻すことが、今大会の韓国代表にとって最大のモチベーションとなっています。

3大会連続で1次リーグ敗退中

2009年の準優勝から一転、韓国代表はWBCで厳しい結果が続いています。2013年の第3回大会では1次ラウンドでオランダに敗れ、他の試合に勝利したものの得失点差の壁に阻まれて敗退。2017年の第4回大会ではイスラエルとオランダに連敗を喫し、実力を発揮できないまま姿を消しました。

そして2023年の第5回大会では、トミー・エドマンや金河成といったメジャーリーガーを擁する布陣で臨みましたが、日本とオーストラリアに連敗して1次ラウンド敗退が確定しました。特にオーストラリアに敗れたことは韓国球界に大きな衝撃を与え、組織的なチーム作りや投手力の不足といった根本的な課題が浮き彫りになっています。最終戦の中国戦ではWBC史上最多となるチーム得点22対2のコールド勝ちを収め、次大会の予選免除を確保したことが唯一の救いでした。

こうした危機感を背景に、韓国は2026年大会に向けて本格的な改革に着手しています。昨年11月の日本との強化試合では2003年生まれの選手を5人も起用するなどチームの若返りが進み、KBOで30本塁打・40盗塁を達成した若き怪物キム・ドヨンのような次世代スターも名乗りを上げています。

さらに注目すべきは、選手の奮起を促す目的で賞金が設定されたとの報道がある点です。これまでの大会は4強進出以降のみ賞金が支給されていましたが、今大会から8強に進出した際も支給されることが決まったといいます。3大会連続の早期敗退というプレッシャーの中で、具体的なインセンティブを用意してモチベーション向上を図る姿勢からは、今大会にかける韓国野球界の本気度がうかがえます。

まとめ

金河成や宋成文といった主力の離脱は確かに痛手ですが、韓国系メジャーリーガーの本格合流や若手の成長によって、過去3大会とは異なるチームが出来上がりつつあります。

東京ドームで繰り広げられる日韓戦は、両国のプライドがぶつかり合う熱い一戦になることでしょう。韓国代表が3大会ぶりに1次ラウンドの壁を突破できるかどうか、ぜひ注目してみてください。