今年MLBに移籍した日本人は?移籍のルールや移籍が予想される選手も紹介
2025年のオフシーズンは、日本球界にとって歴史的な冬となりました。
東京ヤクルトスワローズの村上宗隆、読売ジャイアンツの岡本和真、埼玉西武ライオンズの今井達也と、日本を代表する3選手が相次いでMLBへの移籍を決断しています。
日本人選手のMLB挑戦は、イチローや松井秀喜の時代から長い歴史がありますが、同時期に複数のスター選手がポスティングシステムを利用して海を渡るケースは珍しく、大きな注目を集めました。
この記事では、2025年オフにMLBへ移籍した日本人3選手の詳細なプロフィールと契約内容に加え、将来的にMLB移籍が予想される選手や、日本人選手がMLBへ移籍する方法についても詳しく解説します。興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
今年MLBに移籍した日本人一覧
2025年オフシーズンにMLBへの移籍が決まった日本人選手は以下の3名です。
| 選手名 | 移籍元 | 移籍先 | 契約内容 | ポジション |
|---|---|---|---|---|
| 村上宗隆 | ヤクルト | ホワイトソックス | 2年総額3,400万ドル(約53億円) | 内野手 |
| 岡本和真 | 巨人 | ブルージェイズ | 4年総額6,000万ドル(約94億円) | 内野手 |
| 今井達也 | 西武 | アストロズ | 3年総額5,400万ドル(約85億円) | 投手 |
3選手ともにポスティングシステムを利用しての移籍です。それぞれの選手について、経歴や移籍の背景を見ていきましょう。
村上宗隆(ホワイトソックス)
村上宗隆は2000年2月生まれ、熊本県出身の左打ちスラッガーです。九州学院高校から2017年のドラフト1位で東京ヤクルトスワローズに入団しました。
NPBでの通算成績は1,003試合に出場し、打率.273、265本塁打、722打点。入団2年目に19歳でセ・リーグ新人王を獲得すると、2021年と2022年には2年連続でリーグMVP(最優秀選手)に選出されています。
特に2022年シーズンは圧巻の成績でした。打率.318、56本塁打、134打点でNPB史上最年少となる22歳での三冠王を達成。56本塁打は日本人選手のシーズン最多記録(NPB最多はバレンティンの60本塁打・2013年)で、王貞治氏が1964年に打ち立てた55本を上回る歴史的な数字です。
2023年のWBCでは日本代表の中心打者として活躍し、日本の世界一に大きく貢献しました。2025年シーズンは負傷で56試合の出場にとどまりましたが、22本塁打、OPS1.043と好調ぶりを見せています。
ポスティング交渉では、当初8年1億8,000万ドル規模の大型契約も予想されていました。しかし最終的にホワイトソックスと2年総額3,400万ドルの短期高年俸契約で合意。背番号は「5」に決まりました。
入団会見では白い靴下を取り出すパフォーマンスで会場を沸かせています。2年間でMLBの投手陣への対応力を証明し、その後のFA市場で大型契約を勝ち取る戦略と見られています。
ホワイトソックスは近年低迷が続いていますが、若手有望株が台頭しつつある再建途中のチームです。出場機会が確保されやすく、じっくりMLBに適応できる環境が整っているといえるでしょう。
岡本和真(ブルージェイズ)
岡本和真は1996年6月生まれ、奈良県出身の右打ちの強打者です。智弁学園高校時代に高校通算73本塁打を記録し、2014年のドラフト1位で読売ジャイアンツに入団しました。4年目の2018年に打率.309、33本塁打、100打点でブレイクすると、以降は巨人の不動の4番として君臨。2018年から2023年まで6年連続30本塁打以上を記録し、本塁打王3度、打点王2度を獲得しています。
2023年のWBCでは日本代表に選出され、決勝のアメリカ戦でソロ本塁打を放つなど日本の優勝に貢献しました。2025年シーズンは左肘の靱帯損傷で69試合の出場にとどまりましたが、打率.327、15本塁打、OPS1.014と圧倒的な数字を残しています。
2026年1月4日、ブルージェイズと4年総額6,000万ドル(約94億円)の大型契約を締結。背番号は7です。入団会見では「トロントに世界一を持って帰るために、すべてを出し切りたい」と意気込みを語りました。村上の2年契約に対して岡本が4年の長期契約を勝ち取った背景には、コンタクト能力の高さと三振の少なさがあります。ブルージェイズは三振が少なくボールをインプレーにする打線を持つチームで、岡本の打撃スタイルとの相性が評価されました。
ブルージェイズは2025年にワールドシリーズに進出し、ドジャースと第7戦まで戦った強豪です。今オフはディラン・シースとの7年2億1,000万ドルの契約をはじめ総額3億3,700万ドルの積極補強を行っており、2026年も有力な優勝候補と目されています。岡本の、球団成績への貢献度にも要注目です。
今井達也(アストロズ)
今井達也は1998年5月生まれ、栃木県出身の右腕投手です。作新学院高校時代に2016年夏の甲子園で優勝投手を経験し、同年ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団しました。2019年に自身初の開幕ローテーション入りを果たし、2023年からは3年連続で2桁勝利を記録。2024年には187奪三振で最多奪三振のタイトルを獲得しました。NPBオールスターにも3度選出されています。
特に2025年は自己最高のシーズンとなり、163回2/3を投げて10勝5敗、防御率1.92、178奪三振。4月には平良海馬との継投でノーヒッターも達成しました。
ポスティング交渉では6年1億5,000万ドル規模も予想されましたが、最終的にアストロズと3年総額5,400万ドルで合意。この契約の特徴は、2026年と2027年の各シーズン後にオプトアウト権が付与されている点。好成績を残せば1年目からFA市場に出ることも可能です。
アストロズは2017年と2022年にワールドシリーズを制覇した強豪で、本拠地は「ダイキン・パーク」。日本人選手としては松井稼頭央、青木宣親、菊池雄星に続く4人目の所属となります。
将来MLBへの移籍が予想されている日本人は?
今オフの3選手に続き、今後MLBへの移籍が予想される注目の日本人選手を紹介します。
高橋光成(西武)
高橋光成は1997年2月生まれ、群馬県出身の右腕です。前橋育英高校から2014年ドラフト1位で西武に入団し、18歳でプロデビューを果たしました。190cmの長身から投げ下ろすパワーピッチングが持ち味です。
2025年シーズンは8勝9敗、防御率3.04で2年ぶりの規定投球回に到達しました。今井達也とともにポスティングでのMLB移籍を目指しましたが、3球団からのオファーが十分な条件に至らず、今オフの移籍を断念しています。
ただし、西武とオプトアウト条項付きの複数年契約を結んでおり、2026年シーズン中に海外FA権を取得する見込みです。来オフにはポスティングの制約がないFAとして再びMLB市場に挑戦でき、MLB公式サイトも「圧倒的な成績を残せば、1年後の価値は格段に高まる」と報じています。
佐藤輝明(阪神)
佐藤輝明は1999年3月生まれ、兵庫県出身の左打ちの長距離砲です。近畿大学から2020年ドラフト1位で阪神タイガースに入団しました。デビュー以来長らく打撃のムラを課題としていましたが、2025年シーズンで完全に覚醒し、139試合で打率.277、40本塁打、102打点を記録。球団生え抜きでは1985年の掛布雅之以来40年ぶりとなる40本塁打を達成しました。本塁打王と打点王の2冠、さらにはゴールデン・グラブ賞にも輝き、セ・リーグMVPに選出されています。
佐藤はMLBへの強い憧れを公言しており、2025年オフの契約更改ではポスティングでのMLB移籍を球団に要望しましたが、阪神側は即座の容認には至りませんでした。代理人にはMLBで実績のあるショーン・ノバック氏を起用し、早ければ2026年オフにはポスティングを認めるよう球団に働きかけている状況です。
推定年俸4.5億円プラス出来高の総額5億円規模でサインしましたが、キャンプイン直前まで交渉が長引くなど、メジャー移籍を巡る議論は継続しています。
海外FA権の取得は最短で2029年になりますが、26歳で40本塁打を放つパワーと若さは十分な魅力です。今後の成績次第で、日本球界最大の「次のメジャー候補」として注目が集まるでしょう。
日本人選手がMLBへ移籍する方法
日本のプロ野球選手がMLBに移籍するには、主に2つのルートがあります。
ポスティングシステムを利用する
ポスティングシステムとは、海外FA権を持たないNPB選手が、所属球団の承認を得てMLB球団への移籍を実現する制度です。1998年に導入され、イチロー、松坂大輔、ダルビッシュ有、大谷翔平、山本由伸など多くの日本人スター選手がこの制度で渡米しています。今回の村上・岡本・今井もすべてこの制度での移籍です。
手順としては、選手が所属球団にポスティング利用を申請し、球団が承認。NPBを通じてMLBに申請が行われると、全30球団に公示されます。公示翌日から45日間がMLB球団との交渉期間で、この間に契約が成立しなければ元の球団に残留します。申請期間は毎年11月1日から12月15日です。
契約が成立すると、元のNPB球団には「譲渡金」が支払われます。現行制度(2018年以降)では、契約総額に応じた段階的な計算で金額が決まります。
| 契約総額 | 譲渡金の割合 |
|---|---|
| 2,500万ドル以下の部分 | 20% |
| 2,500万ドル超〜5,000万ドル以下の部分 | 17.5% |
| 5,000万ドル超の部分 | 15% |
さらに契約期間中の出来高報酬の15%も追加で支払われます。
注意すべき点として、ポスティングは球団の承認が必須です。選手が希望しても球団が認めなければ利用できません。佐藤輝明のケースのように交渉が難航する場合もあります。
また「25歳ルール」にも注意が必要です。25歳未満かつプロ経験6年未満の選手はマイナー契約しか結べず、契約金が大幅に制限されます。大谷翔平がエンゼルスに移籍した際にもこのルールが適用されました。
海外FA権を行使する
もう一つの方法が海外FA権の行使です。一軍登録日数が通算9シーズン分(1シーズン=145日)に達した選手が取得でき、球団の承認なしにMLB全30球団と自由に交渉できます。
最大のメリットは球団の許可が不要な点です。一方で、NPB球団に譲渡金が一切支払われないため、球団側はFA権取得の1〜2年前にポスティングを容認するケースが多くなっています。球団にとっては選手をFAで無償に失うより、ポスティングで譲渡金を得る方が経済的にメリットがあるためです。
一方で取得までの年数が長いことが課題で、高卒選手なら最短27歳、大卒選手なら31歳前後での取得が一般的です。選手のピーク時期を逃す可能性があるためポスティングを利用してより若くMLBに挑戦したいと考える選手が増えており、今回の村上・岡本・今井もすべてこの制度での移籍です。
一方、高橋光成は2026年シーズン中に海外FA権を取得する見込みで、来オフにはFAとしてMLBへ再挑戦できます。ポスティングと違い球団承認が不要なため、より自由な立場で交渉に臨めるでしょう。
まとめ
このように、日本人選手のMLB移籍には「ポスティング」と「海外FA」の2つのルートがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
選手の年齢や球団との関係性、市場環境を総合的に考慮して最適なルートが選ばれています。今後も日本人選手のMLBでの活躍から目が離せません。