WBCでの大谷翔平の登板は?WBCの投手に関するルールについても解説
2026年3月に開催されるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に向けて、野球ファンの間で最も注目を集めているのが大谷翔平の起用法です。前回大会では投打の両面で存在感を発揮し、決勝戦ではクローザーとしてマウンドに上がりマイク・トラウトから三振を奪って世界一を決めました。
しかし、2026年大会に向けたキャンプで大谷翔平本人とドジャース球団から重要な発表がありました。今大会では投手としての登板を見送り、打者に専念するという決断です。侍ジャパンの投手陣には山本由伸や伊藤大海、菊池雄星といった実力者が揃っています。
本記事では、大谷翔平がWBCで登板しない理由を解説するとともに、彼に代わってエースの座を担う投手たちを紹介します。さらに、WBC特有の投手に関するルールについても解説します。
キャンプにて「WBCでは投手として登板しない」と明言!
2026年2月、ドジャースの野手組キャンプ初日において、大谷翔平はライブBP(実戦形式の練習)で登板を行いました。打者4人と対戦して18球を投げ、最速98マイル(約158キロ)を計測しています。手術明けとは思えない力強いボールを見せました。
しかしながら、同時期にドジャース球団とWBCでの投手起用について話し合いが行われ、今大会では打者としての出場に専念することが決定しました。ドジャースのフリードマン編成本部長は、2023年9月に受けた2度目の右肘手術からの復帰過程にある大谷翔平の長期的な健康を最優先に考えているとしています。
今大会において、大谷翔平は指名打者(DH)として選手登録されています。MLBの大会規定では野手登録の選手がマウンドに上がる場合は事前にWBC統括機関の許可が必要となるため、現状では先発投手としての起用は困難です。この決定について大谷翔平本人も「納得しています」とコメントしています。
登板しない理由は?
フリードマン編成本部長は、大谷翔平がWBCで登板しない理由について説明を行いました。最も大きな理由は、2度目の右肘手術からの回復過程にあるということです。投手として復帰したのは2024年6月で、2025年シーズンは14試合に登板して1勝1敗、防御率2.87という成績でしたが、これは慎重な復帰プロセスの一環でした。
「手術明けであり、10月まで投げ抜いた昨年のシーズン明けでもある」とフリードマン編成本部長は語りました。 ワールドシリーズ連覇を達成した直後であり、その疲労が完全に回復していない可能性も考慮されています。今季はレギュラーシーズン開幕から二刀流でフル回転し、ポストシーズンまで投げ抜くことを目標としているため、シーズン前に無理をさせないという判断です。
また、長期的な視点も重要な要素です。
大谷選手はドジャースと10年契約を結んでおり、今後8年間にわたって投手としても活躍することが期待されています。「今後8年間投げ続けたいという彼の願いと、我々も投げてほしいという考えを合わせ、極めて慎重になっている」と述べ、短期決戦で投げることによるキャリアへの悪影響を避けたい意向が示されました。
侍ジャパンとの事前協議も行われており、井端弘和監督も球団の判断を理解しています。
大谷選手は打者として、自己最多55本塁打を放った破壊力でチームを牽引することが期待されています。
大谷翔平に代わって日本のエースを担う投手は?
大谷翔平が投手として登板しないことが決まりましたが、侍ジャパンには世界と戦える投手陣が揃っています。井端弘和監督が率いる今大会の日本代表は、MLBとNPBのトップ投手が集結した史上最強クラスの布陣です。
ここでは、日本のエースを担うことが期待される3人の投手を紹介します。
山本由伸(ドジャース)
今大会において最も期待を集めている投手が、ドジャースの山本由伸です。前回大会でも日本代表として出場し、世界一に貢献しました。
山本選手の武器は、多彩な変化球と抜群の制球力です。150キロを超えるストレートを軸に、カットボール、カーブ、スプリットなどを高い精度で投げ分けます。
2025年の活躍において特筆すべきは、ワールドシリーズで3勝を挙げ、日本人投手初のワールドシリーズMVPとベーブ・ルース賞を受賞したことです。ポストシーズンでの完投勝利も日本人投手初の快挙であり、大舞台での強さを証明しています。
同年のシーズン中は12勝を挙げ、サイ・ヤング賞投票で3位の得票数を獲得しています。
NPB時代の2021-2023年には沢村賞・最優秀選手賞・ベストナイン(投手部門)・ゴールデングラブ賞(投手部門)の4つの表彰を、すべて3年連続で受賞という偉業を成し遂げました。
井端監督は山本由伸を「日本のエース」と位置づけ、初戦必勝を掲げる構想を描いています。
伊藤大海(日本ハム)
NPB組の中で最も期待を集めているのが、北海道日本ハムファイターズの伊藤大海(ひろみ)です。前回大会に続いての選出となり、国際大会での経験も豊富な右腕です。2025年シーズンには沢村賞を受賞し、NPBを代表する投手として確固たる地位を築いています。
伊藤大海の特徴は、先発でも中継ぎでも高いパフォーマンスを発揮できる万能性です。WBCでは球数制限があるため「第2先発」の存在が重要になりますが、伊藤大海はまさにこの役割を完璧にこなせる投手です。
2021年の東京オリンピックでは日本代表として金メダル獲得に貢献しています。150キロを超えるストレートと切れ味鋭いスライダー、落差の大きいフォークボールを武器としており、リリーフとしての「火消し」能力にも定評があります。
菊池雄星(エンゼルス)
左腕投手として侍ジャパンを支えるのが、ロサンゼルス・エンゼルスの菊池雄星です。西武ライオンズでエースとして活躍した後、2019年からMLBに挑戦しています。
2026年でメジャー8年目を迎える菊池選手は、これまでにも先発ローテーションの一角として安定した成績を残してきました。
強みはやはり、サウスポー特有の球筋と豊富な経験です。左投手は右投手とはボールの軌道が異なるため、打者にとってはタイミングが取りにくくなります。NPBとMLBの両方で長年プレーしてきた経験は、国際大会でも大きなアドバンテージになります。
投球面では、90マイル台半ばのストレートを軸にチェンジアップやカーブ、スライダーなど多彩な変化球を操ります。侍ジャパンの投手陣において貴重な左腕として重要な役割を担います。
WBCにおける投手に関するルール
WBCはMLBが主催する国際大会であり、NPBのレギュラーシーズンとは異なる独自のルールが数多く存在します。 特に投手に関しては選手の健康保護を最優先に考えた厳格なルールが設けられており、各チームの戦術に大きな影響を与えています。
球数制限
WBCで最も重要かつ特徴的なルールが、投手の球数制限です。MLBやNPBでは公式な球数制限はありませんが、WBCでは投手の肩や肘を守るために厳格な制限が設定されています。
具体的には、プールステージでは65球、準々決勝では80球、準決勝と決勝では95球が上限です。投手がこの制限球数に達した場合、対戦中の打者との打席が完了した時点で交代しなければなりません。なお申告敬遠は投球数にカウントされません。
登板間隔についても規定があります。50球以上投げた投手は中4日以上、30球以上の場合は中1日の休養が必要です。また、2日連続で投げた投手は翌日必ず休養を取らなければなりません。戦略に直接大きな影響を与える特に厳しいルールと言えるでしょう。
この規定により、WBCでは「第2先発」と呼ばれるロングリリーフ要員の重要性が高くなります。侍ジャパンが過去の大会で安定した成績を残してきた要因のひとつは、この第2先発を任せられる質の高い投手を揃えてきたことにあります。
また、登板したら最低3人の打者と対戦しなければ交代できない「ワンポイント禁止ルール」も適用されます。このルールは主に試合時間の短縮を目的としており、投手がこれを耐え忍ぶには右打・左打どちらの打者にも対応できる実力が求められます。
WBCは、球団全体が一丸となって試合に臨むための戦略性や判断力と、各選手個人の工夫と努力の両方が、同時進行で試される厳しい大会なのです。
牽制球の制限
2026年大会から適用される新ルールのひとつが、牽制球の制限です。
これはMLBでも2023年シーズンから導入されたルールで、試合時間短縮と攻撃的なプレー促進を目的としています。
投手は1打者につきプレートを外す行為(牽制を含む)を2回までに制限されます。3回目で走者をアウトにできなければボークが宣告され、走者は自動的に進塁します。従来のように何度も牽制を投げて走者を釘付けにする戦術は使えなくなりました。
このルールは投手にとって大きなプレッシャーとなります。俊足ランナーが塁上にいる場合、2回の牽制で刺せなければ3回目以降は自由に走られてしまう可能性があります。
一方で攻撃側には有利に働き、盗塁やエンドランなどの機動力を活かした攻撃がしやすくなっています。足の速さに自信がある打者にとっては、腕の見せどころとなるでしょう。
ピッチクロック
ピッチクロックは、投球間の時間を制限するルールです。こちらもMLBで2023年シーズンから導入され、すでに試合時間短縮に大きな効果を発揮しています。公式データによれば、2023年には試合時間が平均約24分も短縮されました。
投手は、走者がいない場合は15秒、走者がいる場合は18秒以内に投球動作を開始しなければなりません。時間を超えると自動的に1ボールが宣告されます。打者も残り8秒までに打席での準備を完了する必要があり、違反すると1ストライクが科されます。
侍ジャパンのMLB組は問題なく対応できますが、NPBでは未導入のため、NPB組は事前のトレーニングで感覚を掴む必要があるでしょう。
ピッチコム
ピッチコムは、投手と捕手の間でサインを電子的に伝達するウェアラブル機器です。MLBでは2022年シーズンから使用が許可され、現在では全30球団で標準的に使用されています。WBCでも公式の通信システムとして認められています。
捕手が装着する送信機には9つのボタンがあり、1回目で球種、2回目でコースを送信します。投手や最大3人までの野手は受信機を帽子の内側などに装着し、音声でサインを受け取ります。音声は日本語を含む複数の言語に対応しています。
ピッチコム導入の最大の目的はサイン盗み対策です。2017年にアストロズがサイン盗みで処分されたことを受け、不正行為を排除するために開発されました。
また、試合時間短縮も重要な目的です。 従来の指によるサイン交換では、特にランナーが二塁にいる場合に時間がかかっていました。 ピッチコムを使用することで、大幅に時間を短縮できます。
ちなみに前回大会では、大谷翔平が投手として登板する際にピッチコムをユニフォームの袖の内側に装着し、ボタンを見ずに操作していたことも話題になりました。多くの球種を持つ大谷選手は、キーパッドの位置を正確に記憶することでスムーズな試合進行に協力していたのです。
まとめ
2026年のWBCにおいて、大谷翔平は投手としての登板を見送り、打者として出場することが正式に決定しました。2度目の右肘手術からの回復過程にあることやワールドシリーズ連覇直後の疲労を考慮した判断であり、本人も納得しています。
しかし、侍ジャパンの投手陣は十分に世界と戦える布陣です。ワールドシリーズMVPの山本由伸が「日本のエース」としてチームを引っ張り、沢村賞投手の伊藤大海、MLBでの経験豊富な菊池雄星らが脇を固めます。
WBCには球数制限や登板間隔制限、牽制球の制限、ピッチクロック、ピッチコムなど独自のルールがあります。これらを理解しておくことで、試合中の投手交代や戦術の意図がより深く理解できます。
侍ジャパンは史上初のWBC連覇を目指して戦います。大谷翔平の投手としての登板はありませんが、打者としては圧倒的な破壊力でチームを牽引してくれるでしょう。世界の頂点を再び目指す侍ジャパンの戦いから目が離せません。