草野球とコロナウイルス

2020/5/1

週末に草野球を楽しむことが多いみなさん。そんな楽しい草野球ですが、怪我に悩まされたり、思い通りにプレーできなかったりという悩みも少なくないはず。いろいろ調べてみるものの草野球に特化した治療法やトレーニングなんて載ってないよ。。という声を受け、teamsではそんな「草野球選手」のための草野球をやる前提でのコンディショニングや身体の使い方について野球選手に精通しているトレーナーや専門家の方にお話ししていただきます。
今回は特別編で草野球と新型コロナウィルスをテーマに野球医学に精通されている馬見塚先生にお話ししていただきました。

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現在、新型コロナウイルスの影響で、仕事も、家庭も、草野球も大きく影響を受けていることと思います。現在、日本中で行われている「不要不急の外出制限」は、急激な患者数の増加による医療破壊を防ぐことと、治療薬や予防薬の開発までの時間稼ぎですから、いつまでたっても「新型コロナのリスクはゼロにできない」ということになります。新型コロナウイルス感染症が流行するまでに野球で行ってきた感染予防では、新型コロナウイルスにかかるリスクが付きまとうことになるのです。
たとえ外出制限が解除されても、今まで草野球をしていた時の感染予防策以上の対策をしなければならないことになります。そこで、今回は、これから草野球をするときに知っておきたい、準備しておきたい感染対策をご紹介しようと思います。

【トイレにハンドソープとアルコール持参】
新型コロナウイルス感染予防で最も重要視されるのが手指衛生です。特にトイレでは、ドア、便座、ハンドル、蛇口などに触れることになるのですが、草野球を行うグランドはトイレがあってもハンドソープやアルコールまで準備されていない場合があります。これまでは「手を洗っておしまい」でもよかったかもしれませんが、今後はハンドソープなどを持参して30秒程度手洗いをして手指衛生を維持する必要がありそうです。また、便座を使われる場合は、アルコールで便座を拭いておく必要もあります。トイレにスマートフォンを持ち込んでいると、トイレをしている最中にスマホにウイルスなどが付着し、手を洗うときにウイルスが付着したままポケットに入れ、手洗い後ウイルスが付着したスマートフォンに触って感染のリスクが高まります。トイレを利用する際はスマートフォンを使わないようにしましょう。

【ウォータージャグ】
野球の現場では、しばしば麦茶やジュースなどを「ウォータージャグ」に入れて、コップなどで補水してきました。しかし、なかなかコップなどを清潔に保つことも難しく、また、コップの数が少ないと複数の選手間でコップを共用することになり、ウイルス感染のリスクとなってしまいます。これから暑くなっていくと、脱水予防のために補水は必須ですが、可能な限りコップやペットボトルなど個人用のものを準備し、使い回さないようにするのはがよいでしょう。ウォータージャグはボトルで足りなくなった時に、補給用に準備するのが良いかと思います。

【ミーティング】
最近のデータによると新型ウイルスは数時間にわたって空気中に残存するということです。それを吸い込むことで飛沫感染が起こる可能性がありますので、クローズな環境を避けるようにします。狭い部屋でのミーティングでは窓を開けておくべきでしょう。

【睡眠と栄養】
こう考えると野球現場における感染症リスクにはさまざまなものがあり、完璧に防ぐことは簡単ではなさそうです。そこで大切になるのが免疫力。まず、体調が悪いときは草野球もお休みとしましょう。運動は免疫能力を低下させることがわかっていますから、重症化する可能性が出てきます。また、睡眠時間を十分に取ることが必要です。この十分な睡眠時間は人によって様々ですが、おおむね8時間以上で目覚ましなどを使わなくても自然と目が覚める時間が良いでしょう。また、栄養も重要です。免疫に関係する白血球の中のリンパ球は、エネルギーバランスがマイナスになればなるほど減っていくことがわかっています。また、ビタミンDやビタミンC、亜鉛なども感染予防に有効性が示されています。

このように、皆さんが適切な知識を持って実行することで、自らと仲間、そして家族を守ることにつながります。草野球2020は、このような感染予防から始めましょう!

馬見塚尚孝(まみづかなおたか)
ベースボール&スポーツクリニック 野球医学センターベースボール&スポーツクリニック 野球医学センター長)
1993年 琉球大学卒業→ 1993年 筑波大学整形外科レジデント→ 2007年 筑波大学大学院修了 博士(医学)→ 2011年 筑波大学附属病院水戸地域医療センター講師→2019年 現職 野球関係では2006年から筑波大学硬式野球部チームドクターや部長を歴任。大分舞鶴高校や筑波大学附属駒場高校兼大分市立大在中学校臨時コーチを経験し2020年から東京大学硬式野球部トレーニング担当を務める。
現在 Baseball clinic誌『野球医学』の教科書の毎月連載やNHK BS-1 ワースポ×MLBレギュラー出演中。

(teams編集部)

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