野球未経験者が挑む、純粋に野球を楽しめるチーム作り
2020/7/3
プロ野球から少年野球まで国内の人気スポーツとして栄えてきた野球。今では重度の障害のある人も楽しくプレーすることができる「ユニバーサル野球」や5人制でゴムボールを使ってプレーすることができる簡易野球「BASEBALL5」など野球人気は落ちるどころか横に広がり始めている。そんな中、町の野球場では毎週末野球をプレーする大人たちを見ることができる。たかが草野球、されど草野球。teamsでは草野球に情熱を捧げる大人たちに注目し、野球への思い、チーム結成の裏側などを取り上げていく。
草野球の楽しみ方は人それぞれ。真剣に勝利を目指して練習や試合に取り組むチームから、練習はせず常に試合に取り組むチーム、エラーをしても何をしても常に野球を楽しんでいるチーム。そんな中、ただ純粋に野球が好きで集まった未経験者チームがある。今回取材させていただいた愛知県のグリズリーだ。今回は代表の寺岡健太さん(33歳)にお話しをお伺いした。
「メンバーのほとんどが未経験者、皆純粋に野球が好き」
昨年結成されたグリズリー。野球部や教えてもらったことのないメンバーがほとんどのこのチームで代表を務める寺岡さんも同じく野球未経験者のメンバーだ。寺岡さんが野球を好きになったのは大学生のころ、友人が野球好きで中日ドラゴンズの試合を観戦に行ったことがきっかけだった。周囲が野球好きだったこともあり寺岡さん自身も野球の魅力に引き込まれる形で、遊びから野球を始めた。
社会人になってからSNSでのチームメンバーの募集を見て、飛び込みで参加。最初はキャッチボールもままならない、試合に出れば必ずと言っていいほどエラーをするような選手だった。幼いころから水泳や卓球、ラグビーにゴルフと幅広くスポーツを経験。スポーツを経験することには慣れていたが今までのスポーツと野球は全く感覚が違った。野球観戦をしてから投手を志した寺岡さんは一生懸命壁を相手に練習し、わずか2年で試合のマウンドに立つまでに成長した。
「野球というスポーツの中にある上下関係」
当初参加していたチームに未経験者は少なく、教えてもらうことが多かった。その関係が続く中で野球を長く経験している人との上下関係が生まれていったという。次第にエスカレートし、ミスを責められ楽しいと思っていた野球の楽しみ方が分からなくなっていった。この経験をきっかけに、野球未経験者でも楽しく野球ができるチームを作ることを決意。現在のグリズリーを結成するに至った。当初6人だったメンバーは徐々に増え、現在は20名ほど集まるようになった。
「ミスを責めない、どうやったらできるかを考える」
グリズリーのメンバーは様々。寺岡さんと同じくドラゴンズが好きになり、野球を始めた人や、子供が野球を始めたので自分もプレーしたいと参加した方など、理由は人それぞれ。会社も違えば年齢も離れている。このメンバーをまとめる上で心かけていることは、皆でプレーを褒めて、ミスを責めないこと。とにかく野球を楽しむことを徹底している。
寺岡さんは「少年野球でもよく見られるなんでできないんだという声に疑問を感じます。」と現在の野球指導者への不満を言ってくれた。何でできないか、ではなくなぜできる方法を教えないのだろうとずっと疑問に思っていたそうだ。気合と根性ではなくアプローチを考えた指導法をすればもっと野球を楽しめる人は増えると考えている。野球は生涯スポーツ、いつ好きになって野球をはじめようが、野球をプレーする上で上下関係は全くない。グリズリーは今後初めての対外試合を予定している。勝敗に関わらず野球を純粋に楽しむ輪を今後もどんどん広げていってほしい。
(teams編集部)