PL学園・明治大学と名門を渡り歩いた硬式野球エリートの軟式野球への挑戦。(後編)

2020/7/17

<岡本昂大さん経歴>
兵庫県の淡路島で育ち、野球を始める。小学生は地元のチームでプレーし、中学進学と共にPL学園中学校に受験し合格。勉強と共に野球も続けた。高校も名門PL高校野球部に在籍。現ミネソタ・ツインズでプレーする前田健太投手と共に3年春の甲子園大会に出場。不動の1番センターとして活躍。大学は明治大学に進学し野球部に所属。現在は大阪バンバータの選手兼監督。

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PL学園、明治大学と硬式野球のエリートとして学生時代を過ごした岡本さん。プロへの道もあきらめ、野球からも離れようとした矢先、明治大学の先輩、梅田大喜さんに声をかけられた。梅田さんは明徳義塾高校で甲子園に5度出場、全て一桁背番号で出場したのはあのPL学園清原和博さんと梅田さんの2人だけという伝説の高校球児だ。明治大学で同じ野球部に所属した梅田さんから「面白いチームがあるからこないか?」と言われた。

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「東京バンバータとクマカンとの出会いが人生を変えた」
岡本さんは誘われるままに、東京バンバータの試合に参加。そこにはイメージしていた草野球と違い、ユニホームがかっこよく、面白いおじさんが揃っていた。「最高のチームに出会ったと思った。」岡本さんは当時の東京バンバータをこう表現する。また、当時東京バンバータには現東京ヴェルディバンバータ監督の熊本浩志さんが監督として在籍。「できる男になる」を合言葉に熊本さんを中心に作られた東京バンバータ、社会人としてできる男になるために野球をやっている、その魅力に岡本さんはすっかりバンバータと熊本監督の虜になっていた。

「東京バンバータから大阪バンバータへ」
仕事の関係もあり、東京から大阪へ引っ越した。東京バンバータでの活躍もあり、いろいろなチームからもお誘いをいただいたが、「バンバータ以上のチームはない」と全てのお誘いを断った。大阪では一旦野球から離れた岡本さん、草野球チームを作ったが面白いと感じることができなかった。「何か刺激が足りない」と野球が自分の生きがいと再確認した岡本さんは、思い切って熊本監督に連絡。電話で熊本監督に「自分が面白くないから周りが面白くないと感じる。まずは自分が楽しい人生を必死に送れ」と言われたそうだ。自分が面白いこと=野球と岡本さんは野球にもう一度チャレンジすることを決意した。また、国体の強化試合を東京バンバータが行っていたところに招待頂き、3日間この合宿に付き添った。その帰り道に熊本監督に「やるんだったら監督で大阪バンバータの名前でチームを作れば」と言われた。その瞬間「大阪バンバータ」としてチームを作ることを決意した。

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「大阪バンバータ誕生、岡本監督として始動」
熊本監督への人生相談を終え、帰阪した岡本さんはメンバーを集めた。熊本監督の協力でyoutubeでセレクションを案内、草野球界でバンバータの名前は広く知れ渡っており、社会人野球経験者など多くの選手が集まった。しかし、「寄せ集めのチームは弱い」と熊本監督から言われていたこともあり、岡本さんは自ら誘った選手を中心にセレクションから3人だけ選出し、チームを結成した。社会人野球まで続けた選手が多く、選手の個の力は強かった。しかし、なぜか結成当初試合に勝てないことが多かった。考えた末、出た結論は「選手達の頭を硬式野球から軟式野球へ切り替える」ことだった。

「硬式野球と軟式野球は違うスポーツ」
岡本さんはこのように軟式野球を捉えている。特にチームの負けが続いているときに選手達は硬式野球で結果を出していたプライドが邪魔をして、軟式野球にプレースタイルを変換できていなかった。「どうすれば硬式野球から軟式野球に変換して挙げられるか」悩んだ末出した答えは、軟式野球の最高峰に触れさせようと、選手達を東京バンバータのキャンプへ連れて行った。そこには軟式野球の打ち方、戦術を徹底する東京バンバータの選手達がいた。練習や試合を通じて選手達の考えやプレーは大きく変化、またバンバータとしてプレーしている意識も伝えることができた。元々ポテンシャルの高い選手が揃っていただけに、頭を切り替えることですぐに結果につながった。

「クマカンに認められたい」
野球への原動力は何かと伺うと、岡本さんは熊本監督の名前を出した。大阪バンバータとしての色は出しつつ、東京を超えることが岡本さんの今の目標だという。また、選手達は皆日本一を野球人生の中で経験したことがない。体が動くうちに「日本一」というタイトルを取ることもチームとしての大きな目標だ。野球を通じて様々な経験や人と出会った岡本さん、野球に感謝し、今後も恩返しをしたいと思っている。いつか全国大会決勝の舞台で東京対大阪のバンバータ決戦が見られることもそう遠くはないかもしれない。岡本さんと熊本監督タッグが今後の軟式野球界を更に盛り上げていくだろう。

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(teams編集部)

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