白球がつないだチーム
2020/3/19
プロ野球から少年野球まで国内の人気スポーツとして栄えてきた野球。今では重度の障害のある人も楽しくプレーすることができる「ユニバーサル野球」や5人制でゴムボールを使ってプレーすることができる簡易野球「BASEBALL5」など野球人気は落ちるどころか横に広がり始めている。そんな中、町の野球場では毎週末野球をプレーする大人たちを見ることができる。たかが草野球、されど草野球。teamsでは草野球に情熱を捧げる大人たちに注目し、野球への思い、チーム結成の裏側などを取り上げていく。 第四回目はMLBドリームカップをきっかけに設立された「NYメッツ」に注目しました。
MLBドリームカップ。草野球人であれば、1度は聞いたことがあるであろう大会だ。2019年大会では661チーム、14,000人を超える草野球人が参加している草野球界屈指の全国大会となっている。同大会の参加方法の一つとして、個人参加という方法がある。この方法でMLBドリームカップに参加したのが、今回お話を伺った林 政雄さん(36)だった。
林さんは山口県出身で小学生の時に野球をはじめ、高校まで続けた。高校では山口県立防府西高校野球部に所属。外野手として活躍し、秋季大会と、夏の予選では同県ベスト4まで勝ち上がった実力者だ。大学を卒業し、地元山口県に就職。30歳まで山口県1部リーグに所属する強豪草野球チームに所属したが、仕事の関係で31歳の時に上京。チームに所属することはなく、個人で様々なチームの助っ人として活動していた。そんなある日、2017年のMLBドリームカップの個人参加案内を見た林さんは、せっかくの機会と思い参加を決意する。
MLBドリームカップの個人参加メンバーは集まった選手たちで即席のチームを作り参加する。集まったメンバーとはすぐに意気投合し、同大会ベスト4まで進出することになる。2017年大会では今回限りとなり、チームとしては即解散だったが、1年経ち当時即席チームのマネージャー兼監督を務めていた寺園さんから連絡があった。「もう一度あの時のチームで試合をしませんか?」この連絡をきっかけに、チームを結成することとなった。 チーム名は「NYメッツ」。当時MLBドリームカップに参加した際、配布ユニホームがニューヨークメッツのものだった。それがチーム名の由来となっている。個人参加メンバーのチームワークをよくするために、試合終わりにはよく飲み会を開催する。個人で大会に出場しようとする、野球が大好きなメンバーとお酒を飲み交わすと野球談議は止まらず、すぐに打ち解けられたと林さんは言う。試合では2018年は勝率7割という圧倒的な成績を残した。2019年には関東草野球連盟3部の大会で見事優勝。参加チーム約100チームの頂点に立った。
今後どういうチームにしていきたいか?と林さんに問うと、ずっとこのチームで還暦まで野球をやっていたいと答えてくれた。林さんにとっての草野球のモチベーションはメンバーで作り出す空気感だという。「みんなの限りある時間を割いて集まっている中で、好プレーを褒め、皆で勝利に向かう意識や空気が本当に好き」と林さんはおっしゃっていた。また、各地域から集まるメンバー構成だからこそ、自分の都合だけでは成立しない、他人を考えて行動することや、気配り、目配りをNYメッツの活動を通じて、改めて学んでいるという。白球がつないだ縁が作ったNYメッツ、今後も目が離せないチームだ。
(teams編集部)