野球界を底辺から支えたい、アークスリーグ運営者の思いとは

2020/3/27

野球人口の減少が叫ばれる昨今。公園や空き地でキャッチボールを自由にできる環境は少なくなり、いわゆる「遊び野球」を見る機会はめったにない。子供たちは少年野球から「本気野球」に触れ、社会人になり草野球を始めても勝ちにこだわるチームが増えている現状がある。そんな中、野球の本当の楽しみ方、THE・草野球に、もう一度目を向け、その環境を提供する方がいる。今回は草野球界に新たな思いを持って挑むアークスリーグ運営者中桐悟さんにお話しを伺った。

「底辺から野球の未来を変えたい」アークスリーグ運営者中桐さんの秘めたる思いだ。 中桐さん自身は中学時代に部活動で野球部に所属。元々、大の野球好きで、中学生になり本格的に野球ができることを楽しみにしていたが、当時の野球部はまだ昭和感が残っており、怒鳴られ、殴られ、は当たり前。中学3年間は自身が思い描いていた「野球を純粋に楽しむ」ということはできなかった。高校・大学と野球から離れて過ごし、社会人になり、もう一度「野球を楽しみたい」と思うようになった中桐さんは、東京への転勤を契機に、草野球で10年ぶりに野球を再開することを決意。東京の草野球=多摩川の河川敷というイメージから、多摩川河川敷の近隣に新居を決め、チームへ加入した。そこで「へったぴリーグ」という私設リーグに出会うことになる。

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「へたっぴリーグ」とはその名の通り、自分たちを下手と認めているチームが集まる私設リーグ。試合の勝敗にこだわらず、純粋に野球を楽しむ大人たちが多く集まる。 中桐さんは、そのリーグで草野球をすることが本当に楽しくて仕方がなかった。中学時代に感じることができなかった、野球の楽しさ、白球を追う純粋さを体感することができたからだ。その後、東京23区の北部に引越すことになった中桐さんは、その地域にへたっぴリーグのような草野球初級チームに合わせたリーグがないことに気づく。そして自身がそれ以外のリーグや大会では、本当の意味で野球を楽しめていないことにも気づき、自分で楽しめる草野球リーグを作ってしまえと一念発起し、現在の「アークスリーグ」を設立した。

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アークスリーグでは、加盟全チーム(56チーム/2020年3月現在)と自由に試合を組むことが可能で、年間に決められた期間内であれば何試合でも実施可能だ(試合にかかる球場、審判代は各チーム負担)。打順は全員をラインナップに並べることができ、守備も無制限に出し入れ自由。負けても勝っても勝ち点が与えられ、試合数を重ねるといくら弱いチームでも、リーグ戦後のポストシーズンマッチ(プレーオフ)に進める可能性がある。 また、野球好きならば、一度はプロ野球選手に憧れ、大観衆の前でヒーローインタビューを受けることを夢見た人も多いはずだ。そんな夢を応援するために、アークスリーグでは早稲田大学アナウンス研究会と提携し、希望があればインタビュアーや実況者を派遣している。更に月に1試合程度、ピックアップゲームとしてアークスリーグYouTubeチャンネルにて試合を実況付きで配信。野球人にとってはまさに夢だった世界を実現している。

「底辺から野球の未来を変えたい」そんな思いは周囲を巻き込む力にもなっている。2018年には女子プロ野球と草野球とのコラボを実施した。草野球人が女子プロ野球選手と練習を行うという今までにはなかった企画を実現。女子プロ野球側も中桐さんの熱い思いに共感、野球界の底辺拡大は草野球だけでなく、女子野球界にとってもプラスになるとこころよく協力してくれた。当時埼玉アストライアに所属していた加藤優選手も参加。参加した方々は、大いに満足され、女子プロ野球の実力を知った方々はその後試合の観戦にも足を運んだそうだ。

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アークスリーグの今後の展望について中桐さんに尋ねたところ。「もっと野球界に貢献できるリーグにしていきたい」と答えが返ってきた。中桐さんが草野球チームを作ろうと企画した際、野球経験者である会社の同僚を誘っても、断られることがあったという。主な理由は「もう野球はやりたくない」という声だった。学生野球で言われる勝利至上主義による弊害で疲れた野球経験者たちは、草野球と学生野球を一緒にとらえているケースが多い。中桐さんは、野球漬けの日々を送ってきた人だからこそ、伝えることができることもあると考えており、そういう人達に草野球界に戻ってきてほしいと願っている。草野球人口が拡大すれば、お子さんもつれてきて、小さいころから野球に触れ、始めるきっかけにもつながる。野球経験者をいかに草野球に参加させ、また、未経験者、女子プレーヤー等にも門戸を広げ、底辺の拡大、人口増加につなげることができるのか、今後もアークスリーグを通じて中桐さんの挑戦は続いていく。

アークスリーグHP(シーズン開幕後も新規加盟チームを継続募集中)
http://arxleague.com/

アークスリーグyoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC58Xv8aq7_nimh3dmEPuOAQ/about

(teams編集部)

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